会社への貸付金と生命保険の活用
- 2025年01月10日
- 相続税

会社への貸付金と生命保険の活用
会社が役員からの貸付金を受けている場合、その役員に万一のことが起きると、貸付金は相続財産として相続人に引き継がれます。相続人は会社に対して貸付金の返済を請求する権利を持つため、会社は返済義務を負うことになります。このような事態に備えて、生命保険を活用することが有効です。
貸付金と相続の関係
役員が亡くなった際、会社への貸付金は「貸金債権」として相続財産に含まれます。相続税の対象となるため、相続人の納税負担が増加することになります。その結果、相続人が貸付金の返済を会社に請求するケースが考えられます。しかし、会社の資金繰りに余裕がない場合、返済が困難になることも少なくありません。
生命保険の活用方法
このようなリスクに備える手段として、会社が役員を被保険者とする生命保険に加入する方法があります。会社が保険料を支払い、役員に万一のことがあった場合には、会社が死亡保険金を受け取る仕組みです。
受け取った死亡保険金を活用すれば、相続人に対する貸付金の返済に充てることができます。これにより、会社の資金繰りを圧迫することなく、円滑に返済義務を果たすことが可能となります。
生命保険のメリット
- 役員の万一に備えた資金確保ができる
- 会社の資金繰りを維持しながら、貸付金返済が可能になる
- 相続人とのトラブルを防ぐことができる
さらに、生命保険の「契約者貸付制度」を活用することもできます。契約者貸付制度とは、解約返戻金の範囲内で資金を借り入れることができる仕組みです。これを利用すれば、会社が急な資金需要に対応することも可能です。
注意すべきポイント
生命保険を活用する際には、いくつかの注意点もあります。契約者貸付を利用する場合、利息が発生するため、返済が滞ると保険契約が失効するリスクがあります。また、保険料の負担や税務上の取り扱いについても十分な検討が必要です。
例えば、保険料を経費として計上する場合や、受け取った保険金の税務上の扱いについては、専門家のアドバイスを受けながら適切に対応することが求められます。
まとめ
役員からの貸付金に備えるために生命保険を活用することは、会社にとって有効な手段です。役員の万一に備えて資金を確保し、返済義務を果たすことで、会社の資金繰りを維持しながら相続人とのトラブルを防ぐことができます。ただし、具体的な導入にあたっては、保険料負担や税務上の扱いについて専門家と相談しながら、会社の状況に応じた適切な対策を講じることが重要です。